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講演「ビジネス×デザインの『リアル』」に参加しました
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先日、神戸商工会議所主催の講演「ビジネス×デザインの『リアル』」に参加してきました。
場所はミント神戸18Fにあるスカイテラス。神戸の景色を堪能出来る素敵な空間です。
(講演に集中していてほとんど外見ませんでしたが。。。)
講師は『日経デザイン』編集長の山下奉仁氏。デザインの現場を取材していて感じたことを話して頂きました。
とても参考になるお話で自分自身について見つめなおす機会になったので、当日の話を追いながら自分の頭の中を整理してみたいと思います。
まずデザイナーは純粋な方が多いと感じたそうです。課題があると、相手が喜ぶものを一生懸命に作ります。
一方でデザインに対して壁を感じている企業の人が意外といると感じるそうです。
デザイナーとは…
デザイナーはロジカルである
「デザイン思考」という言葉が話題になった時期があります。デザインの仕事は最終のアウトプットだけに目が行きがちですが、そこに至るまでにデザイナーは論理的に物事を考えて進めていきます。大事なことは何か、なぜ大事なのかを繰り返し考えていくことで伝えたいことが見えてきます。特にグラフィックデザインではメッセージを伝えることが重要ですので、何を伝えるかを明確にしないと作ることができません。
デザイナーの中には経営者と対等に経営の話ができる人もいます。佐藤オオキさんや佐藤可士和さんといった日本のトップデザイナーはその代表と言えます。経営者にとっては相談相手、思考の壁打ちの相手になったりします。デザインの必要性を一番感じているのは実は経営者なのかもしれません。
デザイナーは言葉の人である
山下さんが取材したあるデザイナーは、ミーティングをした企業の担当者達とのやり取りを全て記録していたそうです。ミーティングの場以外のやり取りも全て。そうして集めた言葉を整理して形にしました。
すごく地道な作業ですが、これを目にした担当者は「自分の言葉を大事にしてくれるんだ」と感じたそうです。
キャッチコピーに代表されるように、デザインワークをする時に言葉を使わない場面は滅多にないと思います。それだけデザインと言葉は密接に関わりあっています。メッセージを伝えるには言葉を大事にしないといけないと改めて考えました。
様々な事例からデザインを考える
ここから具体的な事例を紹介しながら進んでいきました。
違和感が心に刺さる
NHK Eテレの「植物に学ぶ生存戦略 話す人・山田孝之」は俳優の山田孝之さんが植物の知られざる生存戦略を紹介する番組です。生存戦略を紹介するための大胆すぎる擬人化が話題になっています。
特徴的なのは状況の説明が非常に少なく違和感だらけの内容です。しかしこの違和感が視聴者の心に刺さり、放送のたびに大きな反響を呼んでいるそうです。
分かりにくさが心に残る
雑誌がよく売れていた時代、シリーズ広告が多くありました。その中に1枚を見ただけでは全く意味が分からない広告があったそうです。毎号見ていくと理解できるのですが、この分かりにくさに読者は興味をそそられ記憶に残ります。
インターネットが主流の現代では分かりやすいことを優先する傾向が強いと思います。TPOを把握することが大事ですが、あえて分かりにくすることで新しい気づきがあるのかもしれません。
防災は「備えない」から売れる
「フェーズフリー」という防災の新しい考え方があります。「備えない防災」とも呼ばれています。一般的に防災用品は平時には倉庫に大量に保管しておくイメージですが、フェーズフリーでは普段使っているモノが非常でもそのまま使えます。例えば赤ちゃんの液体ミルクやモバイルバッテリーです。
防災用品のあり方そのものを考え直す、デザイン思考ではないかと思います。
プラスチックは悪なのか
最近ではマイクロプラスチックが問題になっていて、プラスチックは環境に悪影響を及ぼす悪者のイメージが強くなっています。しかしプラスチックが悪いのではなく、安価で使い捨てにされていることが問題なのではないか、という疑問からスタートしたプロジェクト「Long Life Plastic Project」。プラスチックを一生モノと考えて、素材はプラスチックであるにも関わらずかなりの高価で販売しました。そして購入者同士が交流できる専用のコミュティを作りました。
まさにコトのデザインではないかと思います。普通のプラスチックに付加価値が付き、消費者はその価値にお金を支払っています。
感想
まだまだ興味深いお話ばかりでしたが特に印象に残った話題はこんな感じです。
デザインの根底には問題解決がありますが、問題を提起したり新しいモノの見方を提案する側面もデザインにはあるのではないかと思います。
身の回りのことに疑問を持つことを普段の生活から意識することで、良い思考のトレーニングになるのではないかと感じています。
※記憶とメモを頼りに自分の感想を交えて書いています。講演の正確なレポートではありませんのでご了承ください。