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フォントのStd、Pro、Pr6、Nとかって何?

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 フォントを選んでいて、同じ名前なのに後ろに”Pro”や”Std”や”Pr6”とかって書いてあって「何これ?違いは何?結局どれを選べばいいの?」と迷ってしまった経験があるのではないでしょうか。
それぞれの違いについて解説します。

文字数の違い

 結局のところ違いは収録されている文字数の違いです。Std<Pro<Pr5<Pr6という順番で文字の数が増えてきます。この記号を「文字セット」といいます。

 日本語はアルファベット等の言語と比べて圧倒的に文字の数が多いので1種類のフォントを作るのにも膨大な時間がかかります。使うときは開発者さんに敬意を払いながら使いたいです。もちろん欧文フォントにも。

 さて、どういう基準で増えているかということは順番に紹介していきます。

フォントのイメージ

Adobeが定めた基準に沿ってつくられている

 多くの日本語フォントは1992年に制定された「Adobe-Japan1」という基準に準拠して作られています(グリフセットといいます)。2024年現在はAdobe-Japan1-0から1-7まで8種類あります。

 数字が増える毎に文字を追加する形になっているので数字が増えるごとに文字数が増え、以前のものは全て含まれます。

グリフセット追加数収録文字数制定年
Adobe-Japan1-08,2841992
Adobe-Japan1-1758,3591993
Adobe-Japan1-23618,7201993
Adobe-Japan1-36349,3541998
Adobe-Japan1-46,09015,4442000
Adobe-Japan1-54,87320,3172002
Adobe-Japan1-62,74123,0582004
Adobe-Japan1-7223,0602019

それぞれどのグリフセットに含まれているか確認していきます。

文字セットに含まれる文字数

Std

・Adobe-Japan1-3
・収録文字数:9,354字

Standardの略。「常用漢字」や「人名漢字」などJIS第1水準と第2水準の文字が含まれていて、日常的に使う文字のほとんどが収録されています。

Pro

・Adobe-Japan1-4
・収録文字数:15,444字

Professionalの略。Stdに加えて出版や商業印刷で求められる文字を加えています。

Pr5

・Adobe-Japan1-5
・収録文字数:20,317字

Proに加えて一般的には使用頻度の低い文字も含まれています。

Pr6

・Adobe-Japan1-6
・収録文字数:23,058字

これまでのすべての文字に加えて、JIS規格に完全に対応した文字セットです。

ちなみにAdobe-Japan1-7は1-6に「令和」の合字の横組用と縦組み用の2文字を追加したものです。

Nの付くフォントと付かないフォント

 上記の記号に加えて、「ProN」等のように一番後ろに「N」の表記が付くものもあります。
これは2004年に改定されたJIS規格「JIS X 0213:2004(通称JIS2004)」に対応したフォントという意味です。168文字が改定され、例えば「辻」のしんにょうの点が1つから2つになったり、「芦」の戸の横線がつながったりといった旧字体のようなものになりました。

NありとNなしの違い

UDフォントとは

 他にも「UD◯◯」のようなUDフォントというものもあります。これはユニバーサルデザイン(Universal Design)のコンセプトに基づいて設計されたフォントことを言います。
ユニバーサルデザインとは、年齢・性別・国籍・能力等に関係なく誰もが快適に使えるデザイン設計のことです。
フォントに当てはめるとあらゆる状況でも誰もが認識しやすく、読みやすい文字ということになります。
小さくなっても読める、多少にじんでも識別することができる、似たような字形でも読み間違いにくいというようなことが考えてられています。具体的には紛らわしい文字の形を変えたり、線と線のアキを広くとるなどしています。

UDフォントの特徴

まとめ

 どれを使うのが正解ということはないので状況に合わせて使ってもらえればと思います。特に制約がなければ文字数の多いものを選んでおけば大丈夫かなとも思います。
それぞれの意味や違いが分かればフォントを選ぶことが面白くなると思います。参考にしてデザイン制作の役に立てて頂ければ幸いです。

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